市街地中心部から程近い住宅街の二世帯住宅の設計です。

駅や幹線道路も近いこのエリアは、住宅地ですが近隣と密度感高く、プライバシーの確保がテーマの一つとなりました。

まずは建蔽率、容積率を最大限利用し、道路側を駐車スペースとすることから、建物は西側に寄せ最大ボリュームを配置しました。

1Ｆ親世帯は道路との間に設ける庭をプライベートな庭兼採光の引きとして大きな窓で正対します。

2Ｆ子世帯は南東の角に２層を上下に貫入する外部吹抜けを設け、東～南の光を空から採り入れる光井戸を持つ空間としました。

光井戸は1Ｆのレベルではポーチと中庭を兼ね光溢れるエントランス空間を作り、2Ｆのレベルでは物干しやお茶を飲んだりできるテラスになっています。

空中に浮かぶ目隠しの壁は、外部からの目線はカットしながら、太陽の光をより採り入れられるスカイラインとして斜めにカットしています。壁の内側を白い板金とすることで室内から見た時の広さ間を得ると共に、太陽光が吹抜け内を明るく拡散する事を意図しています。

敷地を最大限使用するため北側斜線制限ラインが建物の北側にかかる事から、制限勾配ラインぎりぎりを2Ｆ勾配屋根の下端とし、軒高ギリギリ高さに設定した建物の棟に向け登り梁の空間とし最大限の空間ボリュームを確保し、高さ制限を感じさせ開放的な2階空間を設計しました。

梁と構造用合板が表れた天井は、屋根断熱とすることで屋根厚さを最低とすることが出来ると共に、そのまま室内では木質のインテリアとなります。

階段の延長には軒高さを上げたことによる空間を利用した小屋裏物置を作ることが出来、その直下階段の踊り場から出入りする1坪の隠れ家的な書斎スペースも最大軒高さから天井高さの配分により生まれた遊びのスペースです。

2Ｆの目隠しフェンスの斜めラインと、高さ制限と内部空間の検討により生まれた斜めラインは似て非なる成り立ちから勾配が異なり、道路側から見ると家形のようでもあるユニークな外観となりました。

暖房・給湯の熱源はＬＰＧガスと電気ヒートポンプを組み合わせたハイブリッド熱源を採用し、高断熱の外皮設計と共にZEH Orientedの認定を受ける省エネルギー性高い住宅を設計しました。

3世代が住まう二世帯住宅として、皆が共用する部分、それぞれが専有する部分、日々の家族の関わりからどんな空間や距離感が快適であるか、職と日々の暮らし方など、じっくりと話し合い最良の住まいを検討しました。